面白いテーマの研究です![]() |
(総評) ユニーク1:あじの干物をおいしく食べるためには? ユニーク2:手製害虫採り器−梨の実に集まる虫- ユニーク3:石から作る絵の具作り ユニーク4:石灰乾燥剤の謎を明かす 各タイトルの後にある★印の年度とタイトルは、当HPで御紹介した過去の関連実験の報告です。今回御紹介している作品とあわせて、ぜひ参考にしてください。 |
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◇あじの干物といっても、いろいろな味、におい、固さがある。その中でも味、つまり塩分が強いか弱いかではずいぶんと味が異なってしまう。「どれぐらいの塩分の濃さがおいしいのか」「どうしてその濃さがおいしいのか」そのことがわかれば同じあじの干物でも、さまざまな味、におい、固さがあることの理由がわかり、あじの干物をもっとおいしく食べることができるかもしれない。そのため、今年のテーマは「あじの干物をおいしく食べるためには? 」にきめた。
[実験と結果]
新鮮なあじを釣るため、横浜に行き、船上で、鮮度を保つためにえらをわり内臓を取り出した。(父と私あわせて14匹釣った。)

家に帰りあじをさばいた。また、からだを観察した。


10%、215%、20%の食塩水をつくった。
さばいたあじの開きをそれぞれの食塩水につけた。
しばらくつけた後、キッチンペーパーで水分をとり、キッチンペーパーに巻いたまま一日冷蔵庫に入れた。
一日おいたあじをとりだし食べて、感想を表にまとめた。
( U1-4 )
10%はあまりおいしくなかったが、15%、20%は人の好みによりいろいろ。
歴史などを調べた。
[まとめ]
始めるまで、正直釣りに行きたくないなという思いが強かったけど、いざいってみるととても楽しむことができた。今までスーパーでしか見かけなかった「あじ」も近くで見るとあらためて気づくことがたくさんあり、興味を持つこともできた。でも、研究の中でやはり心に残ったのは、あじのひものをたべたときだ。自分たちでつくったあじの干物はまろやかでおいしかったけれど、それ以上に私たちは、いつも生き物の大切な命をもらっているのだなと実感した。
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◇梨の実が害虫に食べられてしまう被害を食い止めるために、手製ペットボトルの害虫捕獲器をつくってみる。害虫が梨の実につくので、甘くてにおいのあるものを考えてペットボトルに入れて、捕れた虫を調べた。

[実験と結果]
害虫を誘う液体として、梨(幸水)をすり下ろして絞る、ブドウ(藤みどり)の皮をとり絞る、カルピスを普通の濃さに薄める、桃の缶詰の汁、らっきょうがつけてあった汁、市販のリンゴジュース



果実吸ガ類について調べた。
梨汁:6匹
ブドウ汁:20匹
カルピス:14匹
桃の缶詰の汁:1匹
らっきょう汁:13匹
リンゴジュース:11匹
8/20(5日目)からは、害虫の数が多くなり、最後の合計はブドウやカルピスに多く入っていた。
ペットボトルに入っていた代表的なガはアカエグリバの成虫、ヒメエグリバの成虫。
[感想]
あまり調べたことのない珍しいものを研究できたのでよかった。害虫がペットボトルの中にいっぱい入っていたのでよかった。研究が終わってもまたやりたい。ブドウとカルピスとらっきょうに虫が多かったのにびっくりした。
反省点として、同じ種類の器にペットボトルを設置すればよかった。木を変えれば数値が違うかと思った。あと、一日ごとに虫を捕りだして観察すればよかった。日数がたつと虫が汚くなり、標本にしたかったができなかった。
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◇自然のもので絵の具を作ってみたいと思った。インターネットなどで調べたが、良い方法が見つからなかったので、とりあえす、石で色を作ることにして、家の近くで色が出そうな石を探した。
[実験と結果]
意外にいろいろな色の石が見つけられた。

石をくだく。やわらかい石は簡単にくだけてが、かたい石は大変だった。細かくなるまでくだいて、すり鉢ですった。
卵と酢を混ぜて、それに石の粉を混ぜた。紙にぬってみると石の粒が残ってしまうのでもっとすらなきゃいけないと思った。
もっとこまかい粉状にするために、乳鉢を買って長くすった。
リンシードオイルを石の粉に混ぜて、油絵の具にした。リンシードオイルは油絵を描く時の材料で,亜麻の種子からしぼって作りだされるから、別名亜麻油ともいう。画材屋さんで買ってきたのは透明だったが、もとは透明な黄褐色をしている。

作った絵の具で絵を描いた。
普通の絵の具よりも描きにくく、さらっとぬっただけでは全くぬれなかった。

[感想]
ふつうの絵の具と違い、混ぜなくともはじめから自然な色合いなので、山の絵にした。本当に自然な色なので、4色を並べて描くだけで、夕焼けの山の絵がかんたんにかけた。色を混ぜなくてもよい。
とてもうまくいってよかった。
違う素材からも、絵の具を作ってみたい。
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◇おせんべいを食べたら袋の中に乾燥材が入っていた。よく見ると、「ぬらすな!禁水」と記してあった。なぜぬらしてはいけないのか、とてもふしぎがでならなかった。同時に、せんべいの袋の中の湿気は、この乾燥剤によって、どのように取り除かれるのか知りたくなり、調べてみたくなった。
乾燥剤の袋に記されている「石灰乾燥剤」の正体はいったいどのような物質で、なぜ注意書きに「禁水」「開封厳禁」と記されているのか。この物質の謎を究明する。
[実験と結果1]
母の監視のもと、石灰乾燥剤10gをはかりとり、乾いたビーカーに入れ、10mlの常温の水道水を少しずつ入れ、温度を調べた。

水を少しずつ入れると、すぐに、乾燥材からしゅうしゅうと音が聞こえた。その後、ビーカー内はドロドロになり、少し異臭がした。25℃の水が27℃まで上がった。乾燥剤が水に溶けて水溶液になることはなかった。水を足してみたがドロドロのままだった。
1. 泡が出たが何が起きたのか、何が危険なのか?
2. なぜ熱くなったのか?
3. そもそも、この乾燥材は何でできているのか?
僕にはまったく理解できなかった。そこで、この乾燥材を持ちN研究室を訪ねた。
[実験と観察2]
家の顕微鏡と、電子顕微鏡で石灰乾燥剤を観察した。

電子顕微鏡とは何かをまとめた。また、実際に使わせてもらった。
シャープペンのシンや父の髪の毛、一円玉の表面も調べた。

石灰乾燥材は、電子顕微鏡で見てみることによって、丸い粒粒の結晶と、小さく丸い粒がくっつき合っている結晶の二種類が混在していることが分かった。
これらの結晶の正体はいったい何なのか先生に尋ねると、
1. 丸い粒粒の結晶は酸化カルシウム(CaO)
2. 小さな粒が集まっている結晶は水酸化カルシウム(Ca(OH)2)
であるとのことであった。
そこで、いったいこれらは乾燥剤として、どのような働きをするのか、実験をさせていただくことになった。
[実験と観察3]
炭酸カルシウム(CaCO3)をはかり、1000℃の電気炉で30分焼いて、自分でCaOをつくった。
電子顕微鏡で観察すると、焼くことによって、角のある結晶から、少し丸みを帯びた結晶へと変わった。もっと長く加熱すると楕円になる。これが、石灰乾燥剤に入っていた丸い粒粒の正体だった。この化学変化について、先生に詳しく教わった。

[実験と観察4]
もうひとつの結晶、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)の存在の意味は何だろうか。また、「禁水」の意味もまだわからない。
作ったCaOに水を数滴加えたら、シューといって熱くなった。
これが「禁水」の理由であった。
この化学変化について、先生に詳しく教わった。
CaOが水と反応して、熱を出し、そのあと、できたCa(OH)2であった。
僕が家で石灰乾燥剤に水をくわえたとき、2℃だけしか発熱しなかったのは、すでに袋の中でCaOは水分(湿気)を十分に吸収して、Ca(OH)2に変化してしまい、ほんの少ししかCaOが残っていなかったからだと考えられる。
まだ湿気を吸収していない乾燥剤であれば、水につけるなど、水と反応させたら、高温となり危険であった。
乾燥材の袋に「禁水」と記されていた理由が理解できた。
この原理を利用して、日本酒や、お弁当を温める商品がある。今度目にしたら、CaOの表示を探してみたいと思う。
[実験と観察5]
これれに毒性はあるのか。
石灰乾燥剤の袋に、直接、リトマス紙を入れても色は変わらなかった。
もう一度、ビーカーに少量入れて水を加えてみたものを調べるとアルカリ性を示した。
本で調べると、Ca(OH)2を水で溶かすと強いアルカリ性になる。誤飲すると、口内や、食道が炎症したり、目に入ると、失明したりする。大変危険な薬品であった。
「開封厳禁」の理由は、ここにもあったことが分かった。
[調べる]
CaOが水と反応してCa(OH)2に変化するならば、逆にCa(OH)2を熱して水分を飛ばせば、また、CaOに戻るのだろうか?フライパンで炒めればよいだろうか。
本で調べた結果、確かに加熱すれば戻るが400℃まで加熱しなければならない。家庭のフライパンでいためるぐらいでは温度が足りないため、家ではできないようである。
乾燥材にはほかに透明な粒粒のシリカゲルがある。それについても調べてみた。
シリカゲルとはメタケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)を処理して乾燥させたもので、一見、ビーズ大の大きさだが表面がでこぼこしていて、大変表面積が大きく、この小さな穴に水分を吸着し、湿気を取る。家庭でフライパンで水分を飛ばせば、効力は落ちていくが再利用が可能なうえ、毒性がない。
ではなぜ、安全で再利用可能なシリカゲルではなく、石灰乾燥剤を利用することが多いのか。製造元の坂本石灰工業株式会社に問い合わせてみた。
「石灰乾燥剤は安価で吸湿力が優れている。1gに対し、水分を3.2g吸湿できるのに対し、シリカゲルは保管状態に左右されやすく、よくて2.5gしか吸湿できない。
これにより、せんべいやのりなど、可能な限り湿度を取り除く必要がある場合、やはり石灰乾燥剤を使用するようである。」
また、「現在、発熱量をできるだけ低くした製品が研究され、50℃以上には発熱しないように改良されている。また、包装紙には、はっ水性のコーティングをしていて、湿気は吸っても、水がしみこみ、急激な反応が起こらないようになっている。湿気をすうだけでは、直接水と反応させる実験と違い、温度は上がらない。」
とのことであった。
[まとめ]
はじめ僕が疑問に思った石灰乾燥剤の謎は、今回の実験と、先生の助言により、すべて解決することができた。今回の実験と、先生の助言により、すべて解決することができた。
中身の正体や、その働き、注意書きの理由などについて、わかったことの要点をまとめた。
安全に正しくこの石灰乾燥剤を利用すれば、安価で便利なものである。
今回の研究にあたり、実際、テレビや本でしか見たことのない専門の機材を実際に僕が自分で使わせていただけたことは、非常にうれしく感動した。
何から何まで目新しい環境の中で、初めは緊張して戸惑ってしまったが、家にある顕微鏡では見えない世界があること、物質と物質を混ぜると火も使わないのに発熱したり、気体が発生したり、時には、危険物に変化する場合もあることを学んだ。
科学の世界は、不思議と謎がいっぱいだ。これから、科学を勉強していくのが、今から楽しみだ。
今回の研究において、僕に新しい世界を教えてくださった先生に心から感謝申し上げる。
また、親切に問い合わせにこたえてくださった坂本石灰工業の皆様、そして、協力してくれた両親にも感謝している。
皆様、本当にありがとうございました。