ふしぎしんぶん
だい98ごう すべる そり の ふしぎ

ま さ つ

先月号に年末に八ヶ岳のほうにおりましたら、暖かい晴天の翌日は一面白銀の世界と書きました。この時の凍結はすごいものでした。車で行動していた私は、風景の美しさを楽しみつつも、本音は翌日走れるかとヒヤヒヤ。少しばかり積もった雪がだいぶ溶けて、日がくれてきた夕方の四時頃にはベランダはほとんどスケートリンク。雪を落としておいたとはいえ、湿っていた車のドアも凍り付いて満足に開きません。
もっとも、高度の高い地域はこれ以降本格的な冬の様相で、あちこちの日陰で凍結した路面が危険な状態になって来ました。
毎週、富士吉田にある大学にいっているのですが、ここも研究棟の前の駐車場はあまり日があたらないで一日中スケートリンク状態が生じます。こうなると、あちこちで自動車のスリップ事故が多発。慣れた地元の人も甘く見てはいられない路面状態。むしろ、雪の多い地方の方が走りやすいくらいです。
摩擦がないと、自動車はコントロールがきかないとつくづく思わせられます。発進も制動もすべて摩擦があってこそ。人が道路を普通に歩いていけるのも、寝たり起きたり立ったりできるのも、摩擦があるからです。
歩くために地面を靴そこが蹴る、それを支え押し返してくれる反対方向に働く力が摩擦です。摩擦がなければ、つまりは滑ってしまって支えがないのですから、そもそも地面を蹴って押すことさえ出来ません。
ところで、止まっている時は、車や私達の足の下には摩擦はあるのでしょうか。


 


実は、摩擦力は静止している時も隠れています。例えば床にタンスが置いてあったとします。タンスは重力により床を押しますが、床は沈み込むことなく垂直抗力でタンスを支えています。
では、この床が少し斜めになったらどうなるでしょうか。タンスはすぐには滑り出さずに静止していることでしょう。床が少し斜めになることにより、下に滑り落ちていく方向に重力が働いているのですが、接触している床との面の間に摩擦力が生じていて、下に引く力と釣り合ってタンスは静止しています。この摩擦力を静止摩擦力と呼びます。これはタンスの底面と床の間の状態できまる静止摩擦係数と垂直抗力をを掛けた大きさを持っている力です。
斜面の傾きが大きくなるにつれて、滑り落ちる方向に働く力は大きくなっていきますが、それに応じて静止摩擦力も大きくなり、タンスはしばらく静止しています。
さらに斜面の傾きが大きくなると、ある段階で静止摩擦力は限界に達します。
落下方向の力が勝ったとたんにタンスは滑り始めます。滑りながらも多少の摩擦力が動きを邪魔します。これを動摩擦力と呼び、最大静止摩擦力よりも小さく滑り落ちている間は一定です。
橇も滑り出させるためには、静止している状態からある程度の力を込めて始めの動きを作り出す必要があります。最大静止摩擦力を越えなければ、物は動き出してくれないわけです。



摩 擦 熱

ところで、私達が日常生活で摩擦と聞くと、滑りにくいということよりも、「熱くなる」というイメージが強いものです。
滑り台を滑ればお尻が熱くなり、寒い日は手を擦ってあたためます。
擦ると運動エネルギーはそこで熱のエネルギーに変わります。
どんくまさんのそりすべりも、雪原を滑り降りてゆくそりと雪の面の間の摩擦が小さい上に、滑ってゆくと擦れる摩擦熱で接触面がわずかにとけ、水が生じてより滑りやすくなると考えられます。

落ち葉の斜面もそりでとてもよく滑れます。しかし、こちらは水の影響は生じてこないので、雪のそりすべりほど抵抗のない、減衰しない滑降にはならないようです。
アイススケートのリンクでは、摩擦によって氷がとけるのを目の当たりに出来ます。始めはまるで湿り気のないリンクも、人がたくさん滑りはじめると、あっという間に氷の表面がとけて、転ぶと悲惨なびしょぬれ状態になります。

自動車で道を走った後に、駐車してからタイヤに触れてみると温かいのがわかります。これも摩擦熱。
他にも、いろいろな機械の中で回転するモーターの周辺では、摩擦で発生する熱の処理が課題になります。

 


今月の話題より・・・
ちょっと変わった絵本の楽しみ方

先月も紹介した「おおさむこさむ」(福音館)にも、そりが登場します。まあ、表紙を見てみてください。「ゆきがやんだあとで…」(同)雪の朝、動物たちがそりを追いかけてゆくとそこは小学校だった。雪の豊かな国、ロシアのお話。「ふゆのはなし」(同)有名な「しらゆきひめ」異聞。小人たちが白雪姫との宴会でそりをすべる様子はとても楽しそう。「あっ おちてくるふってくる」(あすなろ書房)色々な「落ちて来る」ものを集めた一作。花びらに、水、りんごに雪…。雪の日には子供たちは滑って転んで大騒ぎ。「天使のそり遊び」(小峰書店)雨の日の次にはいいことが起こる…。楽しみにしていたピクニックが雨で延期になってしまった日、けいたはお父さんからその言葉を聞きました。

 

 

 

そして、その翌日はきれいな雪が降っています!さあ、家族で楽しいそりすべりに出かけましょう。「そりあそび」(福音館)寒い冬の日、動物たちが寒いというので、ばばばあちゃんは暖まるためにのベッドで動物たちとトランポリンをしはじめた。ベッドが壊れてしまったので、壊れたベッドをそりにして、みんなで遊んで暖まろう、ということになり・・・楽しい冬の一日です。「たろのえりまき」(同)お母さんに編んでもらった襟巻きをつけて、たろは友達とそり遊びにでかけました。そうしたら、襟巻きがなくなってしまって…。他にも「このゆきだるまだーれ?」(同)や「14匹の寒い冬」(同)や「とらたと大雪」(同)、「かえでがおか農場のいちねん」(ほるぷ出版)などにもそりすべりが登場します。