ふしぎしんぶん
だい97ごう きかんしゃ の ふしぎ

じょうきが のぼる

やかんのお湯がしゅんしゅんしゅん、白い湯気が上る冬の光景も、最近はシンプルなストーブや火鉢がなくなったせいであまり見ることがありません。それでも、冬の台所では他の季節よりも湯気の白さが目立つような気がします。
湯気がやかんのふたを押し上げ、カタカタと暴れ出す場面に出会ったことも多いと思います。これは急激に気体となって膨張した蒸気の力。蒸気は物を動かす力があるのです。この蒸気を効率良く動力にしたものが蒸気機関です。
蒸気機関車では、石炭やコークスを燃やして熱を作り出し、蒸気の力を車輪の回転に変えて列車を走らせます。熱エネルギー→運動エネルギーというエネルギー変換の利用の一例です。
他にも熱のエネルギーを回転に変換して利用するものとして、自動車のガソリンの燃焼や、火力発電があります。火力発電は回転をさらに電気のエネルギーに変えているので、熱エネルギー→運動エネルギー→電気エネルギーという流れになっています。
物理ではエネルギー保存という法則があります。総てのエネルギー量は保存されていて、一見、消えたように見えるエネルギーも形を変えているだけで総量は変わっていないという法則です。
でも、「エネルギーは使うと無くなってしまわないの?」とお思いかもしれません。


 


実際はなくなるのではなく、私達には価値のない形のエネルギーに変わってしまうので無くなるように思えるのです。たとえば、音。これはエネルギーでありながら、動力としてはほとんど使い道がありません。そのた め、それらに変換した部分はエネルギーが無くなったように感じるのです。
一口にエネルギー変換と括ってしまいますが、同じ熱エネルギー→運動エネルギーでも、変換効率は燃料やシステムによって大きく違います。つまり、同じぐらいの熱が創りだせる燃料を消費して、生み出すことのできる運動エネルギーの量がシステムにより違うということ。周囲に熱エネルギーのまま伝わったリ、音のエネルギーや光のエネルギーに変わったりして、散逸して行ってしまう分が少なくないのです。
さらに、石炭や石油から熱エネルギーを発生させる為の「燃焼」という化学的な変化は、酸素を利用して石炭や石油を
別の物に変えることであり、結果として「燃焼」後に、煤や二酸化炭素等の迷惑物質が登場して来ます。そのため、機関車はしだいに電気エネルギーにとって代わられ、現在の電車が主流になって来ました。このように、エネルギー利用の変遷には、効率、安全性、利便性など社会生活上考慮に入れなければならないさまざまな面が絡んでいます。ですから、ハイブリッドカーや電気自動車のように、新しい乗り物の普及と定着にはかなりの時間がかかることになります。



蒸気 の 歴史

蒸気機関の本格的な利用は技術者ニューコメンによるといわれています。鉱山の地下の排水の組み上げに利用されました。
効率は注ぎ込む石炭の二%程度と、けしてよくはありませんでしたが、当時の技術の可能な範囲で工夫された画期的なものでした。原理的にはもっと有効な方式も提言されながら、耐久性等の技術が追いつかない面が合った時代です。やがてワットにより、より有効な方式が作られます。
蒸気機関は産業革命のなかで鉄道という輸送機間にも利用されることとなり、世界は蒸気機関車がモクモクと煙りを吐きながら威勢のいい音をたてて走る時代に突入してゆきました。
ところでこのモクモクと轟々は、いかにも威勢がよく迫力に満ちていますが、実はエネルギー効率の悪さの証拠のようなものでした。石炭を燃すことによって発生する熱の大部分が、列車を走らせることに利用されず、熱や音のエネルギーとして周囲に拡散してしまったのです。実際に列車を走らせることに寄与したエネルギーは利用する石炭の四〜五%程度でした。ニューコメンの時代の倍以上になったのですからすばらしいとはいえ、やはりかなり不便で無駄を多く出すもの ナあったことは間違いありません。

 

石炭という燃料は列車に積み込んでどんどん補給しながら走らなければなりません。かさばるから積める量は限られていて、ところどころの駅で補給しなければならず、駅にも沢山の石炭を保管しておく場所が必要になります。それに対して、電気は送電線さえ引けば、どこでも保管の必要無く利用でき、列車に燃料を積み込むスペースを必要としません。もちろん大気汚染にもつながるので、より利便性の高い電気にとって変わられることになります。

 


今月の話題より・・・
ちょっと変わった絵本の楽しみ方

冬になると、いたるところでしろい湯気が見えるようになります。それらは、寒い冬をほっと暖かくしてくれますね。さて、今回は機関車とゆげの両方から絵本を探してみましょう。「急行「北極号」」(河出書房新社)クリスマスの夜、子供たちを乗せて北極号は走る。『僕』はクリスマスプレゼントにサンタの鈴をもらった。その鈴は、不思議な鈴…。大人に呼んでもらいたい、イマジネーションと啓蒙に充ちた一冊。「いたずらきかんしゃちゅうちゅう」(福音館)「きかんしゃホブ・ノブ」(同)機関車が大活躍。読み応えのある2冊です。「がたんごとんがたんごとん」(同)機関車のすきな未就学児も愉しんで見られるかわいい一冊。「ラ・ラ・ラ・タム」(岩波書店)陰影の美しい絵には大人もひきつけられる。

 

 

 

 

少年マチアスがつくった機関車が旅をするお話。最後に機関車はマチアスに会えるのかな・・?では、ここからはゆげのお話。「みんなでもちつき」(福音館)おもちを作る手順をたのしく描く。「おなべおなべにえたかな」(同)表紙からして暖かそう!三匹のきつねはおばあちゃんに言われておなべの番をします。でも焦がしてしまって…。最後はおばあちゃんの活躍で、おいしいスープの出来上がり。「もりのおふろ」(同)森のおふろで、動物たちはなかよく体を洗いあう。他にもゆきぼうずの出てくる「おおさむこさむ」(同)や、つよいやまんばの娘まゆが主人公の「まゆとおに」(同)見ているだけでおなかがすいてくるような「おでんおんせん」(同)があります。ぜひご一読を。