ふしぎしんぶん
だい59ごう かたまる ぷるぷる ふしぎ

ゼラチンと寒天

うさこせんせいは苦手の御様子でしたが、ゼリーや寒天はこれからの暑さに欠かせないデザートです。どちらも透明感があり独特の食感です。
しかし、印象は似ていますが、ゼリーと寒天はまったく異なるものです。
まず、ゼリーはゼラチン(ラテン語の凍った)と呼ばれる動物性タンパク質「コラーゲン」でできています。壊れにくいコラーゲン分子を熱して壊して溶けるようにしたものが「ゼラチン」です。タンパク質なのですから、消化吸収できる栄養素を豊富に含んでいて、低いながらカロリーもあります。
動物の皮や骨を長時間水で煮ていると溶け出してくる物質で、「コンソメジェリー」や「魚のにこごり」はストレートにゼラチンの性質を利用した料理法。煮出したゼラチンを十℃以下で冷やしてそのまま固めたものです。
ゼリーに使うゼラチンの粉は皮と骨から工業的に生産されています。これを改めて過熱して溶かし、冷やし固めると透明なゼリーになります。この時沸騰させてはいけません。また、ゼラチンは常温で放置すれば溶けてしまいます。
動物性のタンパク質は古代から接着剤として利用されてきました。エジプトなどでは「にかわ」、動物の皮から抽出して工芸品の接着などに活躍しました。
似たもので魚から採る「にべ」。「にべもない」の言葉のもとですが、これは日本で宝玉の修理に接着剤として使われている記録があります。
動物性タンパク質を含む水溶液のきわめて直接的な利用は、バイキングに血液を接着に利用している話があります。なるほど。
さて、それにたいして、寒天といえば、紅藻類海藻より抽出された高分子多糖類の炭水化物。早い話がお腹に大切な食物繊維。

カルシウム、マグネシウム、鉄、ナトリウムなどのミネラルを含み、ノンカロリーです。溶かす時は沸騰させても大丈夫、というより、五分ぐらい煮沸しないと完全に溶けません。三十℃〜四十℃で固まり、常温で溶け出すことはないなど、ゼラチンとはだいぶ趣が違います。
趣は違い、性質も違い、物質も違いますが、大雑把にいってしまえば、どちらも長くて複雑な分子でできているから、ぷるぷるに固まるなどということが起こるのですね。
手軽な寒天として最近人気の、伊那食品の「かんてんぱぱ」のサイトは寒天に関する情報がたくさんありますが、その中から一つ引用させてもらいます。
「寒天の原料は紅藻類で、主として天草(Gelidium)、オゴノリ(Gracilaria)、オバクサ(Pterocladia)、伊谷草(Ahmfeltia)等が使われている。天草の主産地は日本、モロッコ、チリ、韓国、スペイン等で、オゴノリの主産地はチリ、南アフリカ、アルゼンチン、日本等である。」おお、寒天まで国際的だったのですね。

 


 

 


寒天を作る

時々、小学生の夏休みの自由研究で寒天を作る子供達がいます。
お祖母さんやお母さんに教わって、天草から作る報告は美味しそうですし、何より楽しそうです。
天草から煮出した生寒天は乾燥して売っている市販の寒天と違って薄い色があり、コクもあって、独特の磯の香がするそうです。
「ママとサイエンス(ふしぎしんぶんHP)」では、「みんなのじゆうけんきゅう」のコーナーで、四年生の男の子の寒天の報告をのせてあります。
その一部を御紹介したいと思います。
「母が僕の年ぐらいの時、おばあさんが海からとってきたてんぐさでところてんを作った話を聞いて、トコロテンを作ろうと思った。千葉のおばあさんは九十二才だから、今は海に入っていないので近所の人に天草を分けてもらうことができた。

・・海から取り立ては赤紫でこのまま煮ても寒天にならない。天火に乾かし、乾いたら水をかけてぬらし、また乾かす。天草が白くなるまでこの作業をくり返した。白くなった天草には砂などがついているからめんぼうでたたいて取り除く。五十gの天草を四十分ぐらいたたいた。たくさんゴミがとれた。
・・・なべに水と天草と酢を入れて弱火で一時間ぐらい煮る。布でこす。こした汁を冷蔵庫で固める。てんつきに入れておし、トコロテンを作った。」





今月の話題より・・・
ちょっと変わった絵本の楽しみ方

今回、寒天やゼリーの本ならあるだろうとたかを括ったのが間違いでした。ゼリーの本は次の一冊しか見つかりませんでした。「おいしいものつくろう」(福音館) 小川の側の家に住む動物達がお夜食にフルーツゼリーをつくっています。他にもオムレツやピザなどうさぎが歌いながら料理を作っています。しかしこれだけで絵本紹介を終えるわけには・・そこで、同じく話題になっている海藻に焦点を当てることにしました。「うみベのハリー」(同) ハリーは海辺が好きでしたがカンカン照りは嫌いです。でも誰も日陰に入れてくれません。どうしようかと波打ち際に座っていると頭から海藻を被ってしまいました!みんなはハリーを海のお化けだと言って驚いて・・。「チリとチリリ」(アリス館) チリとチリリは自転車で走っていると海の世界に入っていきます。海藻の入り口や岩の入り口、海の世界は楽しくて、みんな優しい。帰りにはお土産までいただいていきます。

「三人のちいさな人魚」(評論社) 深い深い海の底に住む三人の人魚は歌が大のへた。ある日三人が歌っていると、上を通っていた船が岩にぶつかってしまいました。三人は、船が沈むのに気付かず寝ている女の子を助け出して、島に連れていきます。四人で楽しく遊んで暮らしますがとうとうお別れの日が来てしまいます。「海辺のあさ」(岩波書店) サリーはお父さんといっしょに蛤ひろいをするために海に出かけます。そこでお父さんが蛤が乾いてしまわないようにまわりに敷き詰めたのが海藻です。「スイミー」(好学社)小さいけれど賢い魚スイミーは、ある日海の中を泳ぎ回り、こんぶやワカメの林を見てまわっていました。その時見つけた仲間は大きな魚に食べられてしまうと怯えていました。仲間を励ましていっしょに大きな魚を撃退しようとするスイミー。スイミーが思いついた奇抜なアイディアとはいったいなんでしょうか?また、動物性タンパク質の接着については「くっつくふしぎ」(福音館) をご覧ください。